2016年10月9日日曜日

Opal ring for the poet



'The sky was pure opal now' said Oscar Wilde.

Sunset-orange, aurora-green, sky-blue and dawn violet.....

Nature color pallet all in one in this Victorian opal ring 

framed with old mine diamonds and cranberry-red rubies. C.1890

I'm pretty sure that Oscar would have cherished this Victorian beauty 

if he had had the chance to see her....


Now available at our on-line store: 




For further details, please feel free to email us:


salon.victorianbox@gmail.com



オパール月の10月に合わせたようにイングランド南東部の

小都市サリーから届けられた美しいヴィクトリアンのオパールのリング。

夜明けの薄紫、曙のピンク、まどろむ春の空のブルー、

オーロラのネオングリーン、夕焼けのオレンジ….

半透明の優しいミルキーグレーのボディーカラーの上に

色とりどりの色斑が指を動かすたびにふわりふわりとたゆたいます。

見る角度によって異なる色彩が刷毛でさっと一塗りされた

フラッシュのようにひらめき、刻刻と表情を

変えていく様は良質のオパールの証。




このリングが製作された19世紀末に生きた耽美派の詩人、

オスカーワイルドは 'The sky was pure opal now.’ と

移ろう空の表情をオパールに例えていますが、

オパールの美しさの真骨頂は見る角度や光によってドラマティックに

変わるその色彩のうつろい(Play of colour :遊色効果)にあります。

このオパール特有の光のイリュージョンは石の中に封じこめられた

太古の水の粒子の配列の妙によってもたらされるもの。

その美しさは自然と年月が手に手を取り合って描いた

抽象絵画のようにも見えてきます。

折しも芸術の秋、掌に極小絵画を飾ってみるのも

オツな物ではないでしょうか。



アンティークのオパールのジュエリーにはこのリングのように
オパールにルビーの赤やデマントイドガーネットの翠を合わせた
作品が数多く見られます。オパールの中に存在する色を拾い、
よりその色彩が輝くように宝石でメイクさながらに色を足す、
その柔軟な西洋的色彩センスには脱帽!!







先日遭遇した宝石のような秋の夕焼け。
オスカー・ワイルドもこの空を見てオパールを
イメージしたのかも....と想像したくなるほどの
切ない美しさに満ちています。






★オパールリングはこちら↓で販売中です★





============================================================



お問い合わせは下記メールアドレスまでお願い致します。


salon.victorianbox@gmail.com








Instagram:@ferronniere











2016年9月18日日曜日

Gibbous Moon Diamond Pendant

Belle Époque style Old mine-cut diamond twin pendant 
accented with vivid purplish-pink diamond.
Crafted in platinum.



For further details, please feel free to email us:

salon.victorianbox@gmail.com





”待宵月と夜桜”

出来上がりを見た瞬間、思わずそんな銘が浮かんで来たペンダント。

満月の前日、ほんの少し縦にたわんだ14日の月とまろやかな月影の下で

昼間の可憐な姿とは一変した妖艶な表情を見せる夜桜。

そんなイメージがふっとたぐり寄せられました。


現代のブリリアントカットは例えるなら煌びやかな人工のネオンライト。

オールドカット特有のふっくらとした厚みとおっとりと大らかなカットが

魅力のオールドマインカットダイヤモンドに光は飾り立てるような

雅さの代わりに心を照らし出す月光のような静謐とぬくもりがあります。

ct越えの大粒石ももちろん素敵ですが、日常に寄り添ってくれるのは

こんなさりげない上品なサイズ感のペンダント。

アミュレット(お護り)代わりに毎日着けたくなる one and only の

オールドダイヤモンドの魔法を是非お試しください。


★こちら↓で販売中です★



ご売約です。ありがとうございました。


*********************************


大粒ダイヤモンドのイメージが強いヴィクトリアンボックスですが、

このペンダントのようにハーフキャラットサイズのお石も5ct越えの石と

同様に真剣に吟味を重ねてセレクトしています。

最終的なチョイスの基準は所謂4Cではなく一重にその石が魅力的かどうか。

もちろんペーパー(グレーディングレポート)も考慮しますが、

いくらペーパーの点数が良くてもオーナーが実際に眼で見て

心を惹かれない石は買い付けません。

そんな独自のセレクト基準をくぐりぬけてヴィクトリアンボックスに集う石は

どれもしっかりとした”貌”を持つ個性派のダイヤモンドばかり。


最近ではダイヤモンドのテーブルにわざわざIDナンバーを刻んで

石のアイデンティティーを声高にアピールするブランドさんも有るようですが、

そんなダイヤモンドを傷モノにする整形手術まがいの暴挙に出るくらいなら

どこを切っても同じ金太郎飴的なラウンドブリリアントカット一辺倒の

マーケティングを再考すれば良いのに…と

会心作のオリジナルペンダントを横にニンマリとしているスタッフNです。


※ちなみに気になってGIAに問い合わせたところ、
テーブルへのレーザー刻印は10倍拡大のルーペで
深さが確認できなければクラリティーグレードへの
影響は無い、とのことです。
でも、10倍ルーペで確認できないような”IDマーク”など
そもそもブランドの自己満足に過ぎないのでは…(苦笑)




============================================================



お問い合わせは下記メールアドレスまでお願い致します。


salon.victorianbox@gmail.com








Instagram:@ferronniere







2016年7月10日日曜日

Memory in hessonite orange

A luscious deep sunset-orange hessonite garnet is prong-set and framed 
all around by crisp antique single-cut diamonds in this one of a kind, 
breathtaking vintage cocktail ring. 

Hand fabricated in 18K white gold and dating back to the mid-century.


For further details, please feel free to email us:

salon.victorianbox@gmail.com









類い稀なクオリティを備えたカラーストーンは目に美しいだけではなく、
時に遠く埋もれていた香りや味覚の記憶を呼び覚ますことがあります。
このヘソナイトガーネットもその1つ。

私にとってのこの石の”記憶”は数年前に一度だけ口にした
25年もののシングルモルトスコッチ。

夕焼けの色を溶かし込んだような深いマホガニーオレンジの
光のさざめきに見入っていると、
光に透かしたグラスの中に浮かび上がる鮮やかな朱の閃光や
ふくよかで厚みのある味わいの中に立ち上る華やかなシェリー樽の芳香、
舌で転がした時に広がるほのかにフルーティーさを感じさせる
スパイシーな余韻まで、眠っていた記憶の輪郭が
ゆらゆらと形作られていくようです。


和名の石榴石の名から連想される少し黒みを帯びた深紅の色合いの他にも
青を除くほぼ全色のカラーパレットを持つガーネット族。

目の覚めるような鮮やかな若草色のデマントイドガーネット、
”マンダリンガーネット”のトレードネームで知られる
艶やかなオレンジ色のスペサルティンガーネットなど
綺羅星のような存在感を放つ他のガーネットファミリーの中にあって
ヘソナイトガーネットは褐色がかったオレンジという
その渋い色目のせいで日陰にかすみがちな存在。

ですが、このヘソナイトガーネットはそんな ”ヘソナイトガーネット=地味” の
固定概念を根底から覆すスペシャルなお石です。

4Cの条件さえ指定すればほぼ同様のアイデンティティの石を揃えられる
現代のダイヤモンドとは対局にあり、五官を揺り動かすほどの鮮烈な存在感を
放つカラーストーンとの出会いは本当にone and only。

スタッフNの敬愛するジュエリージャーナリストHさんが
惚れ込んでエンゲージリングに仕立てたのも実はヘソナイト。
このリングがサロンに来る遥か前にそのエピソードをオーナーから
聞かされたとき、正直 ”よりによって何でヘソナイト・・・” と密かに疑問を
抱いてしまったのはナイショですが、特品のヘソナイトの持つ底力を
このリングによって知らしめられた今は ”流石Hさん!” 
その日本人離れした慧眼にいつもながらただ脱帽の一言です。



==================================================================================



お問い合わせは下記メールアドレスまでお願い致します。


salon.victorianbox@gmail.com













2016年4月10日日曜日

Fit for a queen- Order of the Amaranth Ring


Fit for a queen - an elaborately ornamented antique dinner ring.

Crafted in white gold and embellished with a crown and sword, a wreath, 

and a gavel on the bottom.  

A glittering diamond on top of the crown complete this regal beauty. 

The symbols all point to the origin of this ring being for the Order of the Amaranth, 

fraternal organization found in 1873 affiliated with Freemasonry.



Serendipity(偶然の拾いもの)

思いがけないひょんなタイミングで作品にまつわる謎が

ひもとけていくセレンティピティな瞬間は

アンティークジュエリーの醍醐味と言っても良いと思います。

数年前にお客様の元に旅発ち、その後記憶の底に埋もれたままに

なっていたこちらのリングもそんな中の1つ。

詳しい由来は分からないものの、そのミステリアスな佇まいに

惹かれてオーナーがアメリカから連れ帰り、ほとんど他の方に

顔を見せる事なくお嫁入りしてしまっていたこのリングの正体は・・・




アマランサスのリースの中に王冠と剣をあしらった特徴的なデザインは

19世紀後期のアメリカで結成された女性版フリー・メーソン 

"The Order of the Amaranth” のシンボルマーク。

この組織の会員のために特別に誂えられたリングです。

**************************************************

[The Order of the Amaranth とは]

 1873 年にアメリカで産声を上げたフリー・メーソンの姉妹組織 "Order of the Amaranth" 。
男性しか加入を認められなかった フリー・メーソンに代わり、Order of the Amaranth は
マスター・メーソン(フリー・メーソンの最上級会員)の妻もしくは親族に限るという
制限はあったものの、基本的に女性のための団体であるという点で画期的でした。

南北戦争開戦の前年にあたる1860年、アメリカのニューアークのジェームズ・テーラーは
スウェーデンのクリスティーナ女王が 1653 年に制定した Amaranten order から
想を得た新たな友愛組織を構想。
1873 年にロバート・マッコイがそれを組織化し、Order of the Amaranth として旗揚げしました。
その後 Order of the Amaranth は Eastern Star と並ぶ女性のためのフリー・メーソン系の友愛団体として
自由思想のもと女性結社の萌芽期であった 19 世紀後半のアメリカで着実に力を伸ばし、
今日まで続く堅固な土台を作り上げたのです。

現在の Order of the Amaranth は昔日の秘密結社の色合いは薄まったものの、
糖尿病の研究や患者の救済活動に力を注ぐ医療系のチャリティー団体として
設立から140年以上を経た今もなお全米で精力的に活動を続けています。

スウェーデンのクリスティーナ女王(在位1632-1654)

クリスティーナ女王が構想した Amaranten order は決して 褪せることのない
アマランサスの美しい紅色を理想の女性 像になぞらえ、美と徳を兼備した才気あふれる
” Lady Amarantha”(女王自身)を中心とした宮廷の女性たちと
それを取り巻く騎士の集まりを組織化したものでした。 
古事にのっとり、Order of the Amaranth では今でも女性会員 を
 "Honored Lady", 男性会員を "Sir Knight” と呼んでいるそう。 

王冠(女王)、剣(騎士)、そして名誉を象徴するアマランサスのリースを
組み合わせたシンボルマークにもこの伝統が投影されています。
下にあしらわれた鉱物を掘り起こす金槌のモチーフは
フリー・メーソンが元々鉱夫たちのギルトであった事に由来するものと思われます。

**************************************************

リングが引き寄せたご縁か、現在のオーナーは凄腕のお医者様。

由来が分からぬままに直観でこのリングを見初められたお客様の慧眼にはただ脱帽の一言です。



(※ご売約済のお品をアーカイブとしてご紹介しています)




お問い合わせは下記メールアドレスまでお願い致します。


salon.victorianbox@gmail.com

Please feel free to contact us:salon.victorianbox@gmail.com



















2016年3月30日水曜日

Beyond 4Cs

数学者の視点からダイヤモンドの輝きを理論化し、現代のブリリアントカットの

基礎となるプロポーションを導きだしたマルセル・トルコウスキー。

そのマルセル氏の甥にあたり、現代最高峰のダイヤモンドカッターの

一人とされるガビ・トルコウスキー氏によってカットされた

ダイヤモンドを見る機会に恵まれました。

ガビ氏のダイヤモンドはヴィクトリアンボックスでも過去に

一度だけご紹介していますが、スタッフNは初めてのご対面になります。



作業工程がオートメーション化され自動研磨機によって

大量”生産”される現代のダイヤモンドとは一線を画し、

氏の工房では今も素朴な研磨盤(スカイフ)とドップを用い、

中世のカッター達と同じ工程を踏みながら

ひとつひとつ丁寧にハンドカットされているとのこと。

ダイヤモンドカッティングを作曲になぞらえ、原石との対話によって

その石を最も美しく見せるカットを導きだすガビ氏のフィロソフィー。

その姿は大理石との対話から掘り出すものの姿を探り当てた

ミケランジェロにも重なります。

正直に言って1ct以下の石では分かりづらいのですが、

真骨頂とも言える2ctを超える大粒になるとその良さが

ふわりと花開き、それぞれの石の貌がくっきりと見えてきます。


***************************************

パヴィリオンの部分のカット面数を増やした多面カットはガビ氏以外にも

様々なブランドから考案されていますが、基本的にある程度

場面がある大粒の石でこそ生きる、というのが私の個人的な感想です。

ダイヤモンドの美しさはカット面が織りなす光と陰のモザイクの

バランスによってもたらされるもの。

狭い場面の中でモザイク(カット面)が細かくなりすぎると

輝きのダイナミズムが失われ、露出オーバーの写真のように

石全体が白とびしてしまうような印象を受けます。

***************************************

(こちらの写真は公式サイトからお借りしています)

ガビ氏のカットの持ち味は柔らかく繊細な輝き。

あえて例えるなら和菓子の琥珀糖のような、ぱりんと割れてしまいそうな儚さを

内包しつつ、はんなりとした品の良さが内面からほわりとにじみ出てきます。

テーブル面の光のウィンドウ(抜け)が無く、そのため一度石の中に入った光が

閉じ込められ、その中で永久に反射し続けているような不思議な錯覚に捕われます。

 1つ1つ異なる原石の個性を慈しむ心をそのまま結晶化したような

どこかぬくもりのある美しさは趣は違えど、

アンティークダイヤモンドにも共通するものが。




Clarity(透明度)Color(色)Carat(大きさ)Cut(カット)

所謂4Cはダイヤモンドの主要要素を数値化した通信簿。

トレーディングツールとしては非常に優れていますが、

通信簿に映し出されるのがその人の一面でしかないように、

それだけに捕われてしまうとそれぞれの石の持つ美しさや個性を

見落としてしまう危険性をもはらんでいます。

そばかす(インクルージョン)を欠点と見るかどうかは人それぞれ。

美人ではないのに何処か惹き付ける所がある、、、と偏屈な隣人に

言わしめたアン・シャーリーのように、時にはそんな細かな特徴が

瑣末に思えてしまう位のくらいの魅力に捕われることもあります。

ヴィクトリアンボックスにいらしたら、一旦4Cは忘れて

まずご自分の心で美しさを”感じて”ください。

ガビ氏も言っているとおり、

“ Each diamond is another beauty “ (どのダイヤモンドも違って美しい)のですから!



締めくくりの3枚はヴィクトリアンボックスのコレクションから

アンティークダイヤモンドを。

何とも形容しがたい神秘的なハシバミ色の中に立ちのぼる光は

思わず”4Cが何か?”と言いたくなってしまう規格外の魅力に溢れています。





★こちらのハシバミ色のダイヤモンドリングはご売約です。ありがとうございました★



お問い合わせは下記メールアドレスまでお願い致します。


salon.victorianbox@gmail.com


Please feel free to contact us:salon.victorianbox@gmail.com